下田修平のブログ (ほぼ休眠中)

選挙立候補時の経験を書いてみました、今後無所属でどこかに立候補される方の参考になれば幸いです。今は普通に勤め人です。

談合・カルテル

 談合やカルテルと言うと、公共事業において建設業者が事前に入札価格や落札業者を取り決めたり、とある製品の業界において主要メーカが生産量や価格を調整する、といったケースが挙げられます。勿論、独占禁止法違反です。

 私の勤務先(メーカー)はこの方面に厳しく、「同業者と会う」「業界団体内で情報交換をする」ことすら極力控えるように指導されています。以前は業界団体内で各社毎月販売量を報告して公開していたのですが、その慣習もなくなっています。つまり独占禁止法そのものに引っかからないにしても、疑われそうなこともやめようね、というのが昨今の民間企業の風潮です(特に私の勤務先は)。

 ひるがえって、今回私が軽井沢町長選に立候補すると表明した後、何人かの方から「現職に対抗するために、反現職勢力はお互い話し合って一本化するべきだ」という意見を直接いただきました。正直大変びっくりしました。国政の小選挙区などで、立候補者を具体的に立てる前に政党間で候補者調整することはあっても、いったん立候補表明した人同士(しかも政党に属さない無所属)が集まって話し合いをして一本化する、なんて話は聞いたことがありません。これ自体は法律違反ではないのでしょうが、「法律違反を疑われる」可能性はありえます。具体的に言うと、公職選挙法第221条〜224条に規定されている候補者買収罪です。

 しかし、調べてみればそういうこともあるんですね。例えば2003年青森県東北町の例。町議会の議長が主導し、町議会議員選の定数18名に対し18名しか立候補しないよう、候補者調整していました。無投票ならば、選挙活動が不要となり、お金も時間も節約できるからです。これには現職議員も町長も関与していました。最後の最後でどうしても一人分はみ出してしまいそうになり、最終的に議長自らこの選挙への立候補を取りやめ、その代わり町の助役のポストをもらうということで決着しました。助役というのは議員ではなく、町長の直属の部下であるため、もちろん町長の合意のもとで、です。しかしこの後、アクシデントが発生します。立候補届け出締め切り5分前に、なんと町長の親類が立候補。更には議長も「やっぱり立候補します」という事態に。当然、他の議員たちは「おいおい話が違うだろ!?」と騒ぎます。しかし立候補の届け出は出してしまいました。ここで議員たちは話し合い、この二人を転出させれば良いと気づきました。地方議会議員に当選するためには、そこの住民でなければなりません。住民票を投票日前までに他の町に移してしまえば、その二人への投票は全て無効票となります。そして、この二名はそれに従いました。。。これだけでもとんでもないドタバタ劇ですが、更に話は続きます。選挙終了後、町長は約束していた助役のポストを前議長に与えなかったために、前議長がやけっぱちになって「こんなことがありました」と記者会見で暴露してしまったのです。これにより町長は逮捕、町議は18名中14名書類送検、それでも議員辞職しない者が大半であったためにリコール運動が勃発、という結末に。

 これは極端な例かもしれませんが、いずれにせよ立候補を表明している者が集まって話し合い、候補者調整するというのは買収工作を疑われてもおかしくありません。どうしてもやりたければ、やりたい人だけでやってもらえばよいと思います。ただ、私を巻き込まないでください。