下田修平のブログ (ほぼ休眠中)

選挙立候補時の経験を書いてみました、今後無所属でどこかに立候補される方の参考になれば幸いです。今は普通に勤め人です。

公職選挙法とは

選挙で最もやっていけないのは、買収=票を金で買う行為です。しかしそれ以外にもたくさんの規定があり、立候補者だけでなく有権者もその対象となります。残念ながら、知らなかったでは済まされません。

公職選挙法は、基本的に「お金持ちが当選しやすい状況をできるだけ少なくする」ことを目的としています。選挙で「投票する権利」の歴史は、中学や高校でもみなさん学んだはずです(とはいえ、私も詳細は忘れていましたが)。1889年に選挙権が確立されて以降、基本的には「納税額XX円以上の人しか投票できません」というルールでしたが、1946年の日本国憲法制定により、納税額や破産歴に関係なく平等に選挙権が与えられました。その一方、選ぶ側だけでなく選ばれる側も金持ちに偏らないよう、「選挙活動できる日数を制限する」ことになっています。選挙にはいろいろなお金がかかります。選挙カーのレンタル、ビラやポスターの印刷、事務員や運転手への日当、などなどです。日程が長期化するほど、当然費用は高くなるのです。ゆえに、選挙活動できる期間は最長で「参院選・県知事選で17日」、最短で「町や村の議員や首長で5日」と決まっています。

そしてその選挙期間前(=告示前)にやってはいけないこと、もいろいろ規定しています。簡単に言えば、「俺、近々XX選に出るから、投票よろしくね!」という行為は全て違反です。選挙管理委員会に注意されるだけでなく、警察も関与し、逮捕されるリスクが生じます。これは立候補を表明している人だけでなく、その支持者も対象なのですが、この部分がほとんど認知されていません。例えばあなたが、「今度の町長選に出るAさん、ほんとに素敵な人なの。ぜひよろしくね!」と友人に電話するのも公選法違反です。twitterなどのSNS上で、「Aさんこそ次の町長にふさわしい!」と感想を述べるのも違法です。電子メールやハガキでAさんのアピールをすることも、違法です。Aさんの名前と顔写真と公約を表記したビラを不特定多数に配る事も、内容と時期によっては違法です。これらは全て、告示後に許される行為です。しかし知らずにやっている人は多いですし、ひどい場合は「それが違法と知っている人」が「それを違法と知らない人」にそそのかすこともあります。

問題の一つは、「公選法を教わる機会がほぼない」ということです。もちろん、大学で法学部に進学する人以外、法律を教わる機会というものはありません。自動車免許の取得・更新時に道交法を教わるくらいなものですが、それでもほとんどの人は「人を殺したら殺人罪」「人を殴ったら傷害罪」「他人の持ち物やお金を盗んだら窃盗罪」というのは知っています。それは、日本のなかで日常的にこれらの犯罪が発生しており、頻繁にテレビや新聞で報道されているから「これは悪いことなんだ」「違反したら牢屋に何年も突っ込まれるんだ」と知り得るからです。一方で選挙というのは、数年に一度しかありません。なので、選挙違反というものがどこか違う町で発生したとしても、次の選挙の時までには忘れ去られてしまうのです。

なので、公選法に関しては立候補者以外にも具体的に認知してもらう機会が必須と考えます。(立候補予定者でも、知っててか知らずか違反する人いますけど)